担保不動産競売に係る申立費用

競売

任意売却とは、通常、借入債務が担保不動産の売却金額を上回る場合の不動産売却を指し示します。

3000万円の借入債務に対して、不動産の売却金額が2000万円にしかならないような場合に、任意売却というものが該当します。(※売却後に残債務が生じる場合の売却という意味です。)

ローン滞納と任意売却(不動産売却)との関係

任意売却(もしくは競売)の状態になってしまうのは、何らかのやむを得ない事情(売り上げ減や収入減)によって、借入金(ローン)を支払えなくなることがほとんどです。

しかし、ローンを支払えず、延滞の状態になってしまうこと自体が、債務超過の不動産売却(任意売却)につながるかと言えば…

…必ずしもそれはそうであるとは言えません。この点は、個々の案件によって異なってきます。

債務超過にならない不動産売却

ローンを滞納する状況になったとしても、また一方で、ローン滞納後、競売の申立手続きに入ってしまったとしても、売却価格や借入融資残高の金額によっては…

売却価格が借入債務を上回る場合には、完済できる見込みがある』…ということが可能性としてありえます。

簡単に言えば、3000万円の借入債務に対して、売却金額が4000万円の場合があるということです。

もちろん、一般的な任意売却の案件では、こうしたケースというのは、相対的な数としては、少ないでしょう。

…しかし、そうは言うものの、私自身、ここ最近、そういったケース(債務超過にならない売却)に少なからず遭遇しましたので、今回、自分のためにも、関連事項を記そうとした次第です。

担保不動産競売に係る申立費用

…で、債務超過にならない売却の際、当然、留意しなければならないことがあるわけです。

その留意しなければならない事柄とは、冒頭タイトルでも記載しました『担保不動産競売に係る申立費用』のことです。

通常、任意売却を行う場合、債務超過(※債務が残ること)が前提となりますので、競売の申立前後に関わらず、競売申立費用を気にする必要はあまりないかと思います。

しかしながら、売却金額が借入債務を上回る場合には、つまりは、完済の見込みが立つ場合には、競売申立によって、債務者の負担(売却後の手取り金額)が大きく変わってくることは明らかです。

したがって、売却に際しては、競売申立費用を踏まえた対処及び行動が自ずと必要となるわけであります。

なお、競売の申立費用は、債権者が競売の申立時に予納金として、納めることになりますが、これはあくまで、立て替えですので、申立費用の実質的な負担は、債務者の負担となります。
以下、関連該当条文の抜粋です。

民事執行法 第14条(費用の予納等)

  1. 執行裁判所に対し民事執行の申立てをするときは、申立人は、民事執行の手続に必要な費用として裁判所書記官の定める金額を予納しなければならない。予納した費用が不足する場合において、裁判所書記官が相当の期間を定めてその不足する費用の予納を命じたときも、同様とする。

民事執行法 第42条(執行費用の負担)

  1. 強制執行の費用で必要なもの(以下「執行費用」という。)は、債務者の負担とする。

不動産競売に係る申立費用

では、任意売却や競売にあたっては、具体的な競売申立費用はいくらとして考えていけばよいのかと言いますと…

一つの目安としては、東京の場合、下記の事項に係る合計金額が、担保不動産競売の申立費用になりうるかと考えます。

1.予納金の額

不動産競売請求債権額 予納金の額
2000万円未満 60万円
2000万円以上5000万円未満の場合 100万円
5000万円以上1億円未満の場合 150万円
1億円以上の場合 200万円

2.申立手数料

担保権実行による競売(ケ事件)の場合:担保権1個につき4000円
強制競売(ヌ事件)の場合:債務名義1個につき4000円

3.郵便切手等

90円切手1組

4.差押登記のための登録免許税

国庫金納付書により納付(3万円以下なら収入印紙でも可)
納付額は確定請求債権額の1000分の4

上記は、東京地方裁判所民事執行センターのwebサイトを参考に記載させていただきました。詳細につきましては、『不動産競売事件の申立てについて』をご覧ください。

具体的な競売申立費用

申立債権者が有する債権金額によっても変わってきますが、前記事項を踏まえると、完済見込みがある不動産売却においては、不動産売却(任意売却)の担当者としては、以下のような金額(競売の申立費用)を想定し、動いていく必要があるのかと思われます。

請求債権金額 競売の申立費用
1000万円 約65万円
2000万円 約110万円
3000万円 約115万円

もちろん、これは一般的な場合を想定したものであり、競売事件の内容によって、変わってきます。あくまで参考として留めていただければと思います。(実際の費用算出にあたりましては、申立債権者(抵当権者)にご確認ください。)

担保不動産競売に係る申立費用のまとめ

売却価格や借入金額の観点から見ますと、競売の申立費用というものは、比較的割合としては、小さいです。

しかし、その費用金額だけを着目しますと、やはり、軽視できない金額であることは言うまでもないでしょう。(私だけでしょうか?)

ローンを滞納し、何もしないまま、競売申立後に、不動産売却を行う場合』と
ローンを滞納しそうになる段階で、具体的な相談をして、競売申立前に、売却を行う場合』とでは、

債務者の方の負担(手取り)が大きく異なってくるのは、前記金額の通りです。

以前、『競売よりも任意売却のほうがいいの?』とでも、書かせていただきましたが、ここ最近、競売申立に係る複数の案件を通じて…

行動によって得られる対価というものは、何事にも勝るもの』ということを改めて痛感した次第です。

ローンを滞納しそうになったら、気持ちに余裕を持つためにも、また、売却金額がどれくらいになるのかを知るためにも、早めの行動が一番です。


« »