任意売却によって金融機関は損をするの?

任意売却

任意売却をする際、多くの場合、債務(ローン)が残ることが前提となります。

このとき、売却依頼者の方から…

『債務がこんなに残ってしまうのですね…。銀行(金融機関)には迷惑をかけてしまうことになり、本当に申し訳ないです。銀行(金融機関)は、かなりの損をすることになりますけども、ホントに大丈夫なんですか?』

ごめんなさいの画像

…という言葉をよくいただきます。

任意売却の損切りに関する誤解

任意売却の担当者であれば、周知の事実ですが、一般の方々は、大抵馴染みがない事ですので、確認の意味で、上述の言葉(質問)に対する答えから申し上げますと…

残念ですが、銀行(金融機関)は、全く損をしていません。もちろん、保証会社にしても然りです。

金融機関に対する、心の底から申し訳なく思う冒頭のような言葉を聞きますと、私としては、ちょっと心苦しくなります。

ただ、お金が返せなくなったことに対する、お詫びを兼ねた誠実な気持ちというのは、それなりに結構、大切なことです。

私の場合、上記の言葉をいただいた際に、任意売却のカラクリに関して、答えています。

任意売却ができる仕組み・メカニズム

そもそも金融機関は、債務を全額返済してもらっていないのに、何故任意売却を認めるのでしょうか?

その答えは、紛れもなく…

不動産を購入する際、つまり、お金を借りる際に、債務者が高い保証料を支払っていること(※金利の中に含まれている場合も。)に他ならないです。(※プロパー融資などの例外はあります。)

保証料の件は、忘れている方々が多いですが…

簡単に言いますと、お金を借りるときに、借入金額(ローン金額)に見合う保証料を支払うことで、万が一、ローンが返せなくなった場合のリスク(危険)が回避されているということです。

これは、事業に係る融資、つまり、保証協会付融資についても同様かと思います。

結局のところ、任意売却の仕組みというのは、根本的には、生命保険や損害保険、雇用保険などの保険の仕組みと大して変わりがありません。

ローン滞納リスクを回避できているのは誰?

任意売却が保証料という名の保険制度によって成り立っているのは、前述のとおりですが、残念ながら、ローン滞納リスクを回避している当事者は、債務者側のほうではありません。

当該リスクを回避しているのは、お金を貸した側、つまり、金融機関側のほうになります。

この点に関しては、一般的な保険(生命保険や損害保険等)とは、やや異なる点ではないかと思います。

逆切れ(?)をする債務者の方

任意売却のメカニズム・仕組みを、それとなく私が述べますと、多くの債務者(相談者)の方々は、

  • 『なんだ…心配して損しちゃった…。』
  • 『こんなことなら、早く任意売却をしとくんだった。』
  • 『そういうことだったんですね。』

…などと、拍子抜けされる方もいらっしゃいます。…中には、

  • 『なんで、保証料を払ってるのに、債務は消えないんだよ!それ、聞いたら、(金融機関に対して)だんだん腹が立ってきたぜー!』

などと、逆切れ(?)をされる方もまれにいらっしゃいます。
納得いかないの画像
金融機関に対するそんなお気持ちは、私もよくわかるのではありますけども、ただ…

少なくとも、お金を借りるときには、保証料の意味合いを確認しなかった点(※確認していても、きちんと理解していなかった点)においては、お金を借りた側にも、少なからず、落ち度があると考えられるのでして、

一概には金融機関を責めることはできないのだと、私は考えています。

一体誰が損をしているの?

ここまで書きますと、金融機関は損をせず、残債務をすべて返せない債務者(相談者)の方も含め、誰も損をしていないようにも捉えられ、それこそ、任意売却の仕組みは、魔法のような素晴らしいシステムにも思えます。

しかし!…世の中には、当然、そんなうまい仕組みが存在するわけがありません。

確実に損(※厳密には負担)をしている方々がいるのです。

お分かりかと思いますが、その方々というのは…

日々、真面目にコツコツと働き、滞りなく借りたお金(ローン)を返し続けている一般の債務者の方々であります。

真面目な社長の画像真面目なカップルの画像真面目な上司の画像汗をかいているサラリーマンの画像

わかりやすく言えば、身の回りにいる一般の市民の方々(※ローンをお持ちの方々)とも言えるでしょう。

つまり、お金を借りる際に、保証料を真面目に払う方々がいるからこそ(もしくは保証料を金利の中で真面目に払っているからこそ)、金融機関は多額の融資を行うのであり、保証会社は、ローン滞納(貸し倒れ)が起きた場合の保証をするのであります。

任意売却の仕組みに対する私の考え

借りたお金が返せないのは、それはそれで、やむを得ない事情であり、命を失ってまでして、お金を返す必要はありません。返せないものは返せませんし、命はとても大事なものですから…。

ただし、任意売却ができる仕組み・メカニズム、つまり、金融機関や保証会社等が損をしない仕組みを知って、

『金融機関も保証会社も損をしないのだから、安心ね!』…と安直に捉えられるのは、根本的には大きな間違いの元だと私は思います。

ローンが支払えなくとも、命を失う必要がない現実は、また、任意売却が終わった後においても、わずかながらの債務の支払(通常、数千円~数万円)で何とかなる現実は…

すべては真面目にコツコツと働いている方々のおかげなのですから、

任意売却をしても(債務が残っても)、一般の世間の方々によって生かされている、もしくは、許されているのだ

…という意味合いをよく認識をすべきです。

任意売却担当としての自戒

なお、このことは、任意売却を取り扱う担当者にも妥当することです。

『任意売却は、誰も損をしない素晴らしいシステムです!だから、皆でやろうねっ!』

…などと謳っていると、当然、自らの首を絞めかねることになりかねません、

ローンを真面目に払う正直者が、バカを見る世の中になりかねず、結果、モラルハザード(道徳的危険)を引き起こし、任意売却という仕組み自体が消失してしまうことにも十分ありえます。
承りましたのサラリーマンの画像
自戒のごとく、任意売却の仕事に携わる人間は、この事を改めて再認識する必要があるのかと思います。


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